スタッフブログ
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2011年6月

笑って!

■社内の照明が暗くなりました。空調の設定温度が高くなりました。ちょっと暗くて、暑い夏の到来です。いまホールでは、朝日チャリティー落語会の上演中。米朝一門の豪華メンバーが登場し、場内は笑い声に包まれています。こんな時こそ笑いは大切です■そういえば、舞台・映画・テレビの世界の用語で、『わらう』というのがあります。舞台上や画面の中の不要なモノをどかして片付けることです。なぜ「わらう」というかは諸説あるようでよくわかりません。でも何となく明るくて好きな言葉です。大抵は演出家やカメラマンが『それ邪魔だからわらってくれる?』とスタッフに指示する際に使うわけですが、『邪魔や、どけて!』というより場が和みます(・・・言い方やん)。ともあれ僕はもう30年以上この世界にいるので、『わらう』は身に染みついているのです■対して、最近よく耳にするようになったけれどどうも馴染めないのが、『かたす』という言葉です。意味は『わらう』と殆ど同じです。『片隅に寄せる』みたいなニュアンスらしいですね。若者の新語かな、と思っていたのですが、東日本の一部で昔から使う言い回しのようで、広辞苑など辞書にもしっかり載っている言葉だと知って驚きました。でもねぇ...。かたす...かたす...やっぱり一生馴染めそうにないなあ(艦長)

キネマの天地

■なんか暑過ぎて頭ボーっとして、文章書くのもしんどいですよね■先週は、戸次重幸さん(TEAM NACS)の公演『totsugi式』が終わるのを見計らい、一心寺シアター倶楽さんにお邪魔して、つかこうへい追悼企画・伊藤えん魔プロデュース『蒲田行進曲』を拝見しました。まずは「熱血バージョン」。日を改めて「狂乱バージョン」。何とえん魔さん、キャスティングを換え上演台本もかなり違えた2バージョンを作られたんですね。暴挙であり快挙であります■『蒲田』といえば、スター俳優の銀ちゃん、その恋人の女優・小夏、銀ちゃんの子分の大部屋俳優・ヤス、の三人が織り成す屈折した愛の物語。クラマックスの『階段落ち』に向けて男と女が傷つけ合いながら精一杯愛し合う姿は、観る者の心を切なく絞めつけ、オリジナルの舞台は紀伊國屋演劇賞、つかさんが小説にすれば直木賞、映画化されればキネ旬1位に日本アカデミー賞作品賞他受賞無数...という、文句なしの名作です■今回、オーソドックス版ともいえる熱血バージョンでは、銀ちゃん・藤元秀樹、小夏・美津乃あわ、ヤス・行澤孝という、今年1月のABCホールプロデュース公演『レス』でお世話になった面々。『裏』版の狂乱バージョンは、ヤスは変わらず行澤さんなのですが、小夏役にアクサルのイケ面男優・田渕法明!そして銀ちゃんには何と伊藤えん魔!!というまさに狂乱のキャスティング。しかしどちらもすごく楽しませていただきました■つかこうへい事務所から送られてきた元の台本は優に3時間分はあったとかで、それを2時間弱の心地よい尺に整理し、同時に劇の構造を実にわかり易くかつ説明的にならずまとめ上げたえん魔さんの手腕は大したものだと感心しました。銀ちゃん役としてどうだったのか、その点だけは保留しつつ...(笑)■つか世代の艦長として以前にも書いたことがあるのですが、70年代に上演された、つかさんの本当につかさんらしい作品(あくまで僕基準でですが)は、ほとんど映像として(公式には)残っていません。まとまった作品として現在観ることが出来るのは、いずれも90年代以降のやや過剰に装飾的な作品群です。青春時代の神様に対して失礼を承知で云えば、それらは、つかさんが開拓した演劇の手法が一般化することによって、後に自分自身が陳腐化してしまった果ての姿というか...僕にはそう思えてなりません■その中で実は『蒲田行進曲』は、素晴らしい映画版の存在のおかげで、唯一70年代つか芝居の熱気に今でも触れることが出来る作品なのです。映画版では本当にスタジオに巨大な階段が作られ、本当にスタントの役者さんが『階段落ち』を演じたわけですが、もちろんオリジナル舞台版の『蒲田』には大階段なんてありません。今回のえん魔版にもそんなものはありっこない■でも...ここが小劇場演劇の楽しいところです。狭くて小さな舞台で、どうやって30メートルの階段落ちを見せるか。これが大劇場であれば、実際にセットの大階段を転がり落ちないとお客は納得できないかもしれない。...演出家と俳優に課せられた制約が、かえって作品への期待感を高めます。張り詰めた役者の肉体と照明・音響が一体となって描かれた今回のヤスの階段落ち、素敵でした!■そして何よりこの作品の一番の魅力は、光と影が交錯する映画撮影所の世界と、目の前の役者たちが生きる芝居の世界がオーバーラップするという、メタ構造にあるような気がします。だからこそ、です。京都・太秦の物語なのに、敢えてつかさんは『蒲田行進曲』と名づけたのではないかと思うのです。かつて松竹蒲田撮影所の所歌であった『蒲田行進曲』が持つ圧倒的な《前向きさ》を、作品の基調にしたかったのではないか、と。興味のある方は調べてみてください。ちょっとこそばゆくなるほど明るいその歌詞には、映画芸術への愛と夢が溢れています■歌に触発されて書かれたと思われる、僕のいちばん好きな台詞を最後に。

『だって、ここはキネマの天地ですもの。望めばどんな夢もかなうところですから』

 

                                                ...ええわぁ(艦長)

本日初日!

■totsugi式、今朝小屋入りされて、本日19:00大阪初日の開演でございます!北海道・札幌を拠点に全国で活躍中の大人気ユニット・TEAM NACS。今年は5人のメンバーそれぞれがソロ活動に力を入れる、ということで、ただ今、戸次重幸さんが全国6都市のツアー中■演し物の方向性はメンバーそれぞれ違うのですが、戸次さんのライブは、自身の作・演出によるオムニバスのコント集です。出演は戸次さんのほかに、片桐仁さん、本多力さん(ヨーロッパ企画)、大宮エリーさんと超豪華!

totsugi式.jpgtotsugi式 作・演出/戸次重幸

6月15日(水)       19:00

   16日(木) 14:00  19:00 

   17日(金) 14:00       

    

 

※前売は完売、当日券については下記にお問い合わせください。 

 キョードーチケットセンター   06-7732-8888  (10:00~19:00)

 

 

四畳半の宇宙

■先週末は僕にとって重要な舞台を二つ鑑賞させていただきました。石原正一ショー「熱海殺人事件」(一心寺シアター倶楽)、そしてもちろんイキウメ「散歩する侵略者」(ABCホール)、です■「熱海殺人事件」は、昨年亡くなったつかこうへいさんの初期の作品にして生涯の代表作。小説や映画になって賞を総なめにした「蒲田行進曲」の方が世間的知名度は上かもしれませんが、つかファンの間で作品の人気投票をすれば、「熱海」の断然1位は間違いないでしょう。73年初演。平凡な殺人事件の背後に潜む社会の矛盾・庶民の切ない心情を暴き出して犯罪史上に残る大事件に仕立て上げるべく、刑事と容疑者が団結して奮闘するというお話。シンプルにして骨太、圧倒的な量の笑いと痛烈な告発のメッセージ・・・時代とのリンクもあって最高にかっこよかったんです■しかも、男3人、女1人の出演者と、机2つに椅子3つさえあれば上演できるため、当時の若い演劇者たちは猫も杓子もこの作品を演りました。例えば、80年代から活躍を始めた関西を代表する4つの若手劇団・・・劇団そとばこまち、劇団新感線、劇団M.O.P.、シュン太郎劇団・・・旗揚げ公演はすべて「熱海」だったのです。80年代関西の小劇場運動はつかこうへいのコピーから始まったといっても過言ではありません■つかさんは90年代以降、「熱海」を様々なスタイルに改変して上演します。主役の部長刑事が女性になったり、ゲイになったり...。しかし今回のつかこうへい追悼企画第一弾「熱海殺人事件」はどうやらオリジナル版をやるらしい。そとばこまちOBである石原さんは、先輩たちの「熱海」にずっと憧れてきたのだから。そうこなくっちゃ!客電が落ちる前に流れ出す白鳥の湖「情景」で、昔みたいにおしっこチビらせてもらいたい!(・・・ちょっとテンション上がっちゃってすみません)・・・そんなノスタルジックな気分満載で劇場に足を運んだオールドつかファンの期待に違わぬ、それは『懐かしの熱海』でした■そして「散歩する侵略者」。2005年初演。SF的設定の中で人間の本質をえぐる作風で注目される前川知大さんの代表作■隣国との戦争の危機が迫る日本の小さな港町に、3人の宇宙人が降り立つ。人間に取り憑いた彼らは、出会った人々からあるものを奪い続ける。それは、「家族」、「所有」、などの『概念』。・・・それは確かに重大な喪失なのですが、同時に、奪われた人たちに結果としてある種の解放がもたらされる、という描写が深く心をえぐります。奪う者と奪われる者が織り成す奇妙な群像悲喜劇。終幕近く、宇宙人が憑依した夫と、夫の変容によって不思議な安らぎを感じるようになった妻との間で行なわれる、ある概念の移動のシーンが感動的です■再々演となる今回、3月の大震災を踏まえた改訂を経て、より危機感が切実に浮き彫りにされたといいます。ゼロ年代日本演劇を代表する作品のひとつなのではないでしょうか■執筆時期にして30年を超える隔たりをもつこれら二つの作品、僕には大きな共通点があるように思われました。《閉ざされた空間に、ある大きな不条理を持ち込むことによって人間の本質を炙り出す》、という仕組みです。《劇的な事件でないと捜査に値しない、とゴネる刑事》、《概念を奪う宇宙人の襲来》■「熱海殺人事件」と「散歩する侵略者」は、まったく次元の違う設定を持ち、テイストの異なる作品です。しかしいずれも、『大きなものについて語ろう』、という情熱を共有していると感じるのです。まあ、これは当たり前といえば当たり前なのかもしれません。でも今回僕は改めて思ったのです。「座布団の上に無限の世界が広がる」と形容される落語と同様、舞台という極端に狭苦しくて不自由な空間だからこそ、演劇は、広大な世界と関わるための翼を獲得して、そこに臨まなければならない、と■翼とは、例えば片方がテーマであり、もう一方が手法です。わ、かっこいいい(艦長)

週末はイキウメ!

■イキウメさん、小屋入りです■東京から、ABCホールには初お目見え。2003年結成、今各方面から大注目の集団ですね。ちょっと刺激的な名前は、『生きながらにして彼岸を覗く』という作劇コンセプトがこめられているとか。なーるほど■日常生活の中に、ちょっと気味悪い非日常、異界的なものが忍び込んでくるという、ある意味「演劇」体験の原点ともいえるような世界に連れて行ってくれる劇団です。僕、大阪の他劇場での公演を2度、テレビ中継で短編集の舞台を1度拝見しただけですが、すっかりファンになってしまいました。役者さんもみんな個性的で達者だし、その上今回上演される作品が、『散歩する侵略者』。作・演出をつとめる前川知大さんの代表作で小説化もされていて・・・すなわち劇団の代表作です。楽しみ■〈日本海に面した小さな港町に暮らす真治は、3日間の行方不明の後、人格が一変していた。やがて町に凄惨な事件が起こり、不穏な空気が漂い始める〉・・・。明日からたった3ステです。お見逃しなく!(艦長)

‐ 地 球 侵 略 会 議 は フ ァ ミ レ ス で

イキウメ.jpgイキウメ 2011年春公演

散歩する侵略者』 作・演出 前川 知大

6月 4日(土) 13:00  18:00

    5日(日) 13:00 (残席わずか)     

   ※当日券は各回開演1時間前より発売

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