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2010年7月 8日

(やったぜ!)

■昨夜は珍しく早く帰宅し、ゴハンを食べ終わって、9時台のサスペンスドラマを見ていたのです。最近堅実に視聴率を稼いでいるこの種のドラマを、たまにはちゃんと見てみようなどと思って。ところが僕、冒頭のシーンでたちまちこの作品のトリコになってしまいました■・・・夜明け前。ある部屋に男が一人忍び込んできます。彼は首尾よくあるモノを見つけだし、それを目の前にかざしてマグライトの光で中身を確認すると、小さく、しかしハッキリ叫ぶのです。『やったぜ!これさえあれば!』・・・と次の瞬間、暗闇で何者かのナイフが一閃し、男は死んでしまいます。そしてカットは変わり、朝の訪れと共に警察の現場検証が始まっている・・・という、まあ定番の出だしなわけですが■食いついてしまったのは、何といっても元小劇場界のスターだった俳優さんが演じる、侵入者にして被害者となる男の台詞ですね。わざわざ黒ずくめの服を着て抜き足差し足で忍び込んでおいて、『そんな独りごと言うかっ!』・・・と突っ込みそうなところなんですが、そう思ったのではありません■なるほどこれがゴールデンのテレビなんだな、と。脚本家さんも演出スタッフも、そういうツッコミが入るのは百も承知のはずで、『でもこれが必要なんだ』と確信して男にしゃべらせているのです。現に、洗い物をしながら、さらにインターネットの将棋中継も気になりながらテレビを見ていた僕が、一瞬にして物語の設定を理解してしまったわけで・・・■『彼は悪い奴だけど犯罪のプロではない。依頼された盗みではなく、換金するためでもなく、自分がソレを欲していたのだ』という事情を、一言で視聴者にすり込むことに成功しています■しかし、映画だとやはりこれは少々カッコわるい演出ですよね。暗闇の中で椅子に固定され、画面に集中することを義務づけられている観客、何よりその作品を観るために自ら千数百円を出費している観客に対して、過剰な説明は時に冒涜行為です■俳優の仕草、表情、台詞回し、挿入されるモノや風景のカット・・・その他全ての情報から、物語の輪郭、作品の肌触りを徐々に感じとっていくことが映画を観る喜びだったりするからです。そういう読み取りを助けるために映画にはクローズアップという技法があるのです。テレビ画面ではせいぜい実物大ですが、スクリーンで長さ数メートルもの悪漢の顔が『やったぜ!』などとつぶやけば、それは滑稽でしょう■・・・なんてね、そんなことを考えながら、洗い物も終わった後半はドラマに集中していたのです。犯人探しの推理には二重のミス・ディレクションが仕掛けられていて、紆余曲折の後、ようやく最後に事件の真相が判明します。私が本当にアリっ?と思ったのはドラマの終盤、真犯人が供述を始めてからなんですが・・・まあその話はやめておきましょう■ところでこの『やったぜ!』、舞台だとどうなんでしょう?暗闇、座席に固定、能動的、という点では映画と同じですが、舞台にはアップはありません。小さなABCホールだって、幅10メートルほどの舞台が常に観客の視野に入っているわけで、もっと大きな劇場ではなおさら俳優の表情だけでは伝わりにくい場合もあるでしょう。だから、舞台では舞台独特の演技術が進化し、そこに音響や照明などの助けが加わって、そのあたりを描写していくわけです■真正面を向いて台詞を言う(歌舞伎の見得のように)、人物の心の動きと共に照明が変化する、なんてことはテレビや映画では通常ありえない■つまり、テレビ、映画、舞台では、作り手と観客が共有しているリアリティの次元・・・『本当らしく見せる―感じる』上での約束事・・・がそれぞれ異なるのですね■まあ僕は芝居のストーリーの理解力が極端に低いので、時と場合にもよりますが個人的には、『大事なことは台詞でハッキリ言って欲しいな』と思ったりもしますけど。ひとこと聞き逃すとオハナシが分からなくなる演劇(結構よくあるんですよ)って苦手。駄目かなあ・・・(艦長)

■さてABCホール、本日は、独自の演技術(?)で90年代の関西小劇場シーンを駆け抜けた美女劇団、現在はアラフォー女性劇団、kochoさんの小屋入りです。『文化でドゥヴィドゥバ』というちょっと不思議なタイトルの作品ですが、この『文化』って、『文化住宅』の文化なのだそう。伊藤えん魔氏はじめ賑やかな客演陣、美津乃あわさんなどの日替わりゲストも交えて、果たしてどんな舞台になるのでしょうか・・・!?

kocho.JPG劇団kochoプロデュース公演

 『文化でドゥヴィドゥバ』

7月  9日(金)     19:30

    10日(土)  14:00

    11日(日)  14:00

 ★当日券は開演1時間前より発売です

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